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安全在庫って何?適正在庫との違いや計算方法などを詳しく解説!

2021.12.17

安全在庫というものがよく分からないという方へ、その意味や計算方法、設定する際の注意点などを詳しく解説します。
適正在庫との違いについても紹介しているので、過剰在庫など在庫の管理でお困りの方はぜひ参考にしてください。

安全在庫って何?適正在庫との違いや計算方法などを詳しく解説!

安全在庫とは

安全在庫は、欠品を防ぐことを目的として通常必要な在庫に加え最低限抱えておくべき在庫のことです。
JIS規格によると、「需要変動または補充期間の不確実性を吸収するために必要とされる在庫」と定義されています。

安全在庫を持っておかないと欠品が起きる可能性が高くなり、それが原因で販売のチャンスを逃すリスクが生じてしまいます。
それは企業にとっては大きなマイナスとなるため、安全在庫を常に保持しておく必要があるのです。

安全在庫を持つことで得られる3つのメリット

安全在庫を維持することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。

1.余剰在庫を削減できる

安全在庫を設定することにより、最低限維持すべき在庫が分かるため、余剰在庫を削減することが可能になります。
余剰在庫を削減できれば、これまで在庫で溢れていた保管スペースを有効に使えるようになり、生産性を高めることも可能にしてくれます。

余剰在庫を保管するために倉庫を借りていた場合は、余分な経費をカットでき、利益率をアップさせることができます。
保管スペースに余剰在庫がなくなれば、倉庫内での作業がしやすくなるメリットもあります。

2.販売機会を失うリスクを回避できる

ギリギリの在庫しかなければ、欠品の可能性を常に抱えていることになります。
そのため、お客様からの注文に応えられなくなった際には販売機会を失う可能性が高まります。
さらに、在庫切れを起こしてしまうと信頼を失い、最悪取引を停止されてしまうことも十分に考えられます。

3.キャッシュフローを改善できる

安全在庫を設定することにより、余剰在庫をなくすことができるので、キャッシュフローの改善にもつながります。
在庫がたくさんあれば欠品の心配は必要なくなりますが、その分キャッシュフローを悪化させてしまいます。

安全在庫と適正在庫との違いとは

安全在庫を設定することは在庫を適正に管理することだと思い込み、安全在庫=適正在庫と考えている方も少なくないようです。
しかし、安全在庫と適正在庫は異なるものです。

安全在庫は、あくまでも欠品を避けることを目的とする在庫の下限値です。
これに対して適正在庫は在庫の上限も設定するので、本当の意味で在庫の適正管理を可能にし、在庫の欠品と過剰在庫を防ぐことができるのです。

安全在庫の計算方法

安全在庫数は、次の計算式によって算出可能となっています。

・安全在庫数=「安全係数」×「使用量の標準偏差」×「√(「発注リードタイム」+「発注間隔」)」

以下に、「安全係数」「標準偏差」「発注リードタイム・発注間隔」の算出方法を記載します。

安全係数の算出方法

安全係数というのは欠品をどれくらい許容するかというもので、100%から欠品許容率を引いて求めることができます。
よく採用されるのは1.65という数値ですが、以下が一般的に使用される安全係数の値となっているので参考にしてください。

欠品許容率(%) 1 5 10 20 30
安全係数 2.33 1.65 1.29 0.85 0.53

また、安全係数はExcel関数のNORMSINVを使って欠品許容率から算出することも可能となっているため、上の表にはない数値を設定できます。

標準偏差の算出方法

標準偏差というのは平均値からのばらつきのことで、これが大きいほど平均値からのばらつき具合が大きいことを示しています。
標準偏差は、「安全在庫を求めたい対象の部品」「製品の過去の出庫数」より手計算で算出することができますが、ExcelのSTDEV関数を使えば簡単に算出可能となっています。

発注リードタイムと発注間隔の算出方法

リードタイムとは、仕入れ先に発注してから納品までにかかる日数のこと。
発注間隔は次の発注までの日数です。
たとえば、11月1日に発注して11月8日に届いた場合は発注リードタイムが7日で、次の発注が11月11日なら発注間隔は10日となります。
しかし、発注点発注のように不定期に発注するときには、発注間隔を0日として扱います。

安全在庫を設定するときの2つの注意点

最後に、安全在庫を設定するときの注意点についても把握しておきましょう。

欠品を完全に防ぐことができない

安全在庫を設定して欠品許容率をどれだけ低くしても、欠品を完全に防ぐことはできません。
頻繁に欠品が起きるわけではありませんが、数年に1度程度欠品が起きることは覚悟しておく必要があります。

標準偏差が適正とは限らない

安全在庫の算出の鍵を握っているのは在庫使用量の標準偏差ですが、これが適正とは限らないので注意が必要です。
季節ものの商品など、需要にばらつきが多い場合は、特に適切な標準偏差を算出することが難しくなっています。

安全在庫は、欠品を防ぐために欠かせない在庫となります。
欠品のリスクを完全にゼロにすることは難しいですが、適正在庫も考えながら、在庫数を管理していくことが大切です。
販売機会を失わないためにも、しっかりと管理を行いましょう。